
ジョニー・デップ、またも“伝説の遅刻” 東京コミコン登場もステージはわずか6分――それでも会場は拍手と歓声
2025年12月7日、千葉・幕張メッセで開催されたポップカルチャーの祭典、東京コミックコンベンション 2025(東京コミコン2025)。このイベントにおいて、ハリウッド俳優ジョニー・デップが“伝説級の遅刻”をかましつつも、わずか6分間の短い登壇でファンの前に姿を見せ、大きな話題となった。
もともとこの日のセレブ・ステージは午後1時に開演予定だった。だが、前日に設定されていたサイン会や撮影会が大幅に押し、イベントの進行が遅延。主催側は「進行の都合上」、登壇枠をこの日午後4時30分に変更したと発表。ところがその後さらに時が過ぎ、ジョニーの会場入りは午後4時48分となり、実質的に予定より約3時間近く遅れての“登場”となった。
会場には多くのファンやコスプレイヤーが集まっており、到着を待ちわびる空気が漂っていた。そんな中、ステージに登壇したデップは会場を見渡しながら静かに言葉を口にした。「皆さんに深く感謝したい。親切で寛容で、力強くサポートしてくれた」と。デップの声は落ち着いていたが、場内には大きな歓声が飛び交った。
さらに、この日日本語吹き替えを務める声優である平田広明がステージにかけ寄り、デップへ“のれん”を贈るというサプライズもあった。そののれんには、象徴的に描かれたキャラクターらしきイラストがあり、デップはそれをくぐり、「まるで自分の身を包み込むようだ」と嬉しそうに笑顔を浮かべたという。そんな場面に、会場のテンションは一気に高まったようだ。
ただ、その歓声と興奮も束の間だった。デップはステージでの時間を6分間にとどめ、その後退席。多忙な撮影会とサイン会のスケジュール調整のためとされ、「できるだけ多くのファンに会いたい」という彼の意向によるものだとMCが説明した。
とはいえ、短い時間にもかかわらず会場の盛り上がりは「熱狂」の域だった。登壇時に上がった大歓声、退席直前のスタンディングオベーション、そしてデップへの称賛の嵐。SNSでも「来ただけで伝説更新」「6分でも最高の瞬間だった」「ジョニデ最高」といったコメントが次々拡散され、瞬く間に話題になった。
“ジョニー・デップらしさ”が再び — 遅刻も、短時間も、肯定される理由
なぜ、彼の遅刻や短時間出演がこれほどまでに許され、むしろ歓迎されるのか。それは、“ジョニー・デップらしさ”がすでに多くのファンにとって“ジョニー節=伝説”となっているからだろう。
実際、今回の来日は約8年半ぶり。本来なら厳しいスケジュール調整が求められるはずだ。だが、前日夜遅くまで続いた撮影やサイン会を約束通りこなした末、ステージに立つ意思を示したデップの“最後までやりきる”姿勢に、ファンは大きな敬意を抱いたようだ。
さらに、登壇時の振る舞い――静かに感謝を述べ、ファンと心を通わせ、のれんという日本風の演出を笑顔で受け止める――その一瞬一瞬が、“ただの来場”ではなく“イベントへのリスペクト”として受け止められたのだ。
来日と“6分の伝説” ― ファンとメディアが抱く複雑な温度感
一方で、イベント関係者や一部のファンの間には複雑な感情もあったようだ。遅刻の常習、タイトなスケジュール、そしてわずかな登壇。こうした状況に対し、困惑や不満を抱く声も少なくなかった。だが、それ以上に「来てくれたことが奇跡」「その6分を人生の宝にする」という声が圧倒的だったのも事実だ。
結果として、この“6分の伝説”は、デップとファン、そして東京コミコンというイベントすべてを巻き込んだ“瞬間の共有”になった――そんな印象が強い。
ジョニー・デップは、たった6分で去っていった。だが、その6分は多くのファンにとって、忘れがたい幸せを刻んだ。
「伝説の遅刻男」は、またひとつ“伝説”を更新した。
もしかしたら、近いうちにまた「デップ・タイム」はやってくるかもしれない。
次に彼が来るときは――もう少しだけ、時間に余裕をもってほしいものだ。


