
毎年の世相を表す「今年の漢字」は「熊」に決定した。
「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が、はがきやインターネットで全国から募った中で、最も数が多いものが選ばれる。
協会によると、18万9122票の応募のうち「熊」は2万3346票を集めた。全国で相次ぐ熊の被害や、中国へのパンダの返還などが理由に挙げられた。
ちなみに2位は「米」(2万3166票)。米の高騰や米国との関係性の変化などが要因となっている。
3位は「高」(1万8300票)。首相に就任した高市早苗氏の頭文字であり、物価高騰を表す「高」でもある。
1995年に始まった「今年の漢字」は、今年で30周年。
毎年違う漢字が選ばれていると印象の強い「今年の漢字」だが、実は複数回選ばれている漢字が4つもある。ここでは、過去30年間で複数回選ばれた「今年の漢字」を回数順にランキング形式で発表していきたい。
同率2位「戦」(2回)
2回選出された漢字は3つ。そのうちの一つが、2001年と2022年に選ばれた「戦」。2001年はアメリカ同時多発テロ事件やアメリカによるアフガニスタン侵攻の年。2022年はロシアのウクライナ侵攻の年である。
同率2位「災」(2回)
2004年は新潟県中越地震や浅間山の噴火など、自然災害が多かったため「災」が選ばれた。2028年には豪雨などの自然災害が多かったほか、財務省の公文書書き換え問題など人的災害も多かったことから選出。なお2011年、東日本大震災の年も「災」は3位に選ばれているが、1位は「絆」だった。
同率2位「税」(2回)
2014年と2023年の2回選出。2014年は17年ぶりの消費税増税、2023年にはインボイス制度への賛否など、増税問題への議論が積極的に行われた。
1位「金」(5回)
過去30回中5回も選ばれている、ダントツの1位は「金」。特に2012年以降の13年間では、ほぼ3分の1に当たる4回も選ばれている。「金」が選ばれた2000、2012、2016、2021、2024の5回とも、オリンピックが開催された年であり、日本人選手の金メダルラッシュが大きく話題となった。それに加え、金大中と金正日による初の南北首脳会談(2000)、932年ぶりの金環日食(2012)、自民党の裏金問題(2024)など、それぞれの年の「金」にまつわる時事問題も絡んでいる。
「今年の漢字」が発表されると、いよいよ今年も終わりかと感慨を抱く方も多いだろう。国際的な緊張関係も高まる中、2026年はどんな年になるのだろうか。せめて「戦」や「災」の年にならないよう、願うばかりだ。


