【無印良品】安全性に問題はない→希望者には返金対応「牛乳が腐ったようなにおい」謝罪も

無印良品の「薬用リンクルブライト乳液」をめぐる一件は、化粧品の安全性そのものよりも、「期待」と「体感」のズレがどれほど人の感情を揺らすかを示した出来事だった。
「牛乳が腐ったようなにおい」「きつくて使えない」──そんな率直すぎる言葉がSNSで拡散され、静かな日用品ブランドとしての無印良品には、やや珍しい形で注目が集まった。

画像は無印良品公式サイトより引用

良品計画は調査の結果、「成分および安全性に問題はない」と明言した。原因は品質劣化ではなく、天然由来成分の特性による香りの個体差。収穫時期や原料状態によって香りに差が出る可能性がある、という説明は理屈としては理解できる。
無印良品らしい、実直で科学的な回答とも言える。ただし興味深いのは、その次の一手だ。
同社は「香りの感じ方には個人差がある」と前置きしつつも、「ご期待に添わない場合があることを重く受け止め」、希望者には返金対応を行うと発表した。安全性に問題がないにもかかわらず、である。

これは製品不良への対応というより、顧客体験への配慮に近い。
無印良品というブランドが長年大切にしてきたのは、「必要以上に主張しない心地よさ」だ。その前提が、においという感覚的で逃げ場のない要素によって崩れた以上、「合わなかった人が悪い」とは言わなかった。

香りは数値化できず、正解もない。
だからこそ今回の件は、天然由来・ナチュラル志向の商品が抱える宿命を浮き彫りにしたとも言える。自然であることは、常に均一であることと引き換えなのだ。

無印良品は最後に「不安と不便をかけたこと」への謝罪を添えた。
それは大げさではないが、誠実だった。
静かな日用品の世界で起きた小さな“においの事件”は、ブランドが信頼をどう扱うかを改めて問いかけている。

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