まるでコピペ「同じようなインドカレー屋」がやたら多いと思いません?

一見してそれとわかる派手な配色の看板!
カレーにナンかライス、サラダ、ラッシーまでついたセットが1000円以下!
サラダには謎のドレッシング!
ナンとライスはおかわり自由!
めっちゃ話しかけてくるインド人ぽい陽気な店員!

まるでコピペしまくったような「インドカレー屋」は、日本の街中の至る所にある。そして不思議とあまり潰れない。

個人的には飲食店七不思議の一つ

我が家の近くにも普通ならとっくに潰れてそうなインドカレー屋があるが、かれこれ10年以上は続いている。もちろん何度か食べた事もあるが、普通に美味いし安い。最近の物価高で多少値上げはしたものの、ランチセットは相変わらずコスパが高いし、生ビールをオールタイム300円で出し続けているのはすごい。最近は1品300円のおつまみメニューが大充実し始め、経営努力(迷走)も怠らない。

そんなに儲かっているようには見えないから「あんまり無理しないで」とも思うが、昨年は改装までしていた。大半をDIYでやっており、以前のTHEインドな配色の看板を突如真っ赤っ赤に変更。店名をローマ字からカタカナに変えたのはいいものの、そのカタカナが間違っているというほっこり具合。なんか応援しちゃうんだよな。

店員はテンプレ通りの気さくなインド人で、犬の散歩で前を通りかかると必ず声をかけてくる。

「ワンチャンモカレーオーケー!」

うん、ワンちゃんはカレー食べられないんだよごめんね。

そんな外観もメニューも大体同じなのでほとんどがチェーン店かと思いきや、この手の店は家族経営っぽい個人店が多いのも特徴。現地の人が店の全てを取り仕切っているように見える。

数年で半数以上が閉店すると言われる過酷な日本の飲食店業界に、なぜこうも「インドカレー屋」が多く、そして生き残っているのだろうか。謎だ。

インド人じゃなかった

まずこの「インドカレー屋」、その多くはインド人ではなくネパール人が経営している。そう、先ほど我が家近くのインドカレー屋の店員をインド人と書いたが、おそらくネパール人だろう。

ネパールは出稼ぎ労働者の多い国。日本に出稼ぎに来たネパール人が食文化の似ているインド料理店で働き、「インドカレー屋」を独立開業。そしてその「インドカレー屋」がさらに出稼ぎに来たネパール人の働き口となり大増殖したといわれている。あわせてネパールの国内情勢や日本のビザ取得条件が緩和されたことなども関係しているようだ。

インドカレーはそんナンじゃない

ではなぜ外観やメニュー形態が大体同じで、まるでチェーン店のようになってしまうのか。

理由は簡単で「失敗しないから」。成功モデルを踏襲していくうちに同じような店がどんどん増えていく。そりゃそうだろうという話だが、家族を背負って異国で失敗なんてできるわけがない。でも自分の国では稼げない。

メニューに関していえば、そもそも日本人はカレー大好き民。そこに「見た事ないカレー何種類も選べるの?」「ナンで食べるなんて本格的〜」「でもカレーといえばライスも外せないじゃん?」「おかわり自由なんてすごい」「辛いもの食べた後ラッシー最高〜」「コスパのいいセット大好き」という要素が加われば、大きく外すことはない。日本人の「好き」を全部のせしたようなメニュー構成に辿り着く。

日本人の多くは「インドではナンでカレーを食べる」と思っているが、実は本場インドでナンは贅沢品、高級レストランで食べるようなもの。家庭では、全粒粉を塩と水で練り薄く丸くのばして焼いた「チャパティ」や、焼かずに油で揚げた「プーリー」などが良く食べられている。

「ふかふかもっちり大好き日本人にはチャパティじゃあかん。絶対ナンやろ」

と、どこかのネパール人が言ったかどうかは知らないが、ナンは見事日本人に大ハマり。日本人が現地感を楽しんでいる「インドカレー屋」は、彼らによって日本人用にしっかりカスタマイズされているわけだ。

そうやって日本で人気を獲得したこの「インドカレー屋スタイル」は、失敗できない後発店の開業支援モデルとして受け継がれ、似たような店が増えていくことになる。

また、普通開業するとなると「他の店と全く同じ」であることはなんとなく「悪」であるかのように感じるのが人の性、何か独自の個性を入れたり色気を出したくなってしまうものだ。しかし彼らは容赦無くそのままコピペしていく。「成功したものを何の疑いもなくそのままやる」。これは何気に難しい事で、もしかしたらそれが「失敗しない一番の理由」なのかも。

潰れにくいのには理由がある

そんな「インドカレー屋」が潰れにくい理由は、他にもいくつかある。

カレーは原価が安い上、最低限の厨房設備で済むので物件コストも安くすむ。また、家族・親族経営が多く、人件費が抑えられる。さらにテイクアウト需要も高く、コスパタイパを求める現代日本においてもサバイブできているのかもしれない。

ネパールの先人達が築き上げてきた「インドカレー屋」。今後も増殖し、そして生き残っていきそうな気配だ。




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