データで見る『NHK紅白歌合戦』バンドはもう時代遅れ!?驚きの結果が…

画像はNHKホームページより

11月14日、『第76回NHK紅白歌合戦』の出場歌手37組が発表された。

近年、視聴率の低下がネットニュースなどで頻繁に取り上げられ、不要論なども指摘されている紅白歌合戦。とはいっても、昨年の2024年の75回の番組平均世帯視聴率は第1部が関東で29.0%、関西で27.6%、第2部は関東で32.7%、関西で33.1%(ビデオリサーチ調べ)と高水準を維持しており、「テレビ離れ」が進んでいる現在でも、超高視聴率番組である事に変わりはない。

今回発表された出演者は以下の通り。

画像はNHK紅白歌合戦公式アカウントより

今年もアイドルや演歌歌手、K-POPグループなど、様々なジャンルのアーティスト達が出場予定となっているが、近年の出演者を見ていて感じたのは「バンドが減った気がする」というもの。筆者はCDバブルと言われた90年代に青春時代を過ごしていたこともあり、当時は今よりもっとバンドが沢山出ていたような記憶があるが、実際のところはどうなっているのだろうか。

そこで、紅白歌合戦の出場者を10年区切りで集計し、バンドの出演数を比較してみることに。その結果は…

・1950年代:0組

・1960年代:7組

・1970年代:10組

・1980年代:12組

・1990年代:23組

・2000年代:21組

・2010年代:24組

・2020〜2024年(5年分):21組

どうだろうか。これを見ると、90年代は確かにバンドでの出場は多いものの、その後も大幅な減少はなく、一定以上の数が紅白に出場し続けているという意外な結果が明らかに。近年はむしろ増加傾向すら見られ、2020年代については5年間のみですでに21組も出演していることがわかった。

予想外の結果に驚き

「バンドが減った」という印象とは異なり、実際のデータでは大きく減っていないという意外な結果になったが、なぜデータと印象にズレが生まれたのだろうか。

まず考えられるのは、近年はアイドルやK-POPといった“バンド以外”のアーティストが増え、全体の中でバンドの比率が下がったことだ。絶対数は減っていなくても、出場者全体の構成が変わることで、バンドの存在感が薄れ、「少なくなった」と感じてしまうのかもしれない。

もう1つの理由は、90年代のCDバブル期のインパクトが非常に強かったことだろう。当時は GLAY、L’Arc〜en〜Ciel、LUNA SEA、X JAPAN、THE YELLOW MONKEY、JUDY AND MARY など、国民的ヒットを生むバンドが次々と登場し、まさに“バンドが音楽界の中心にいた時代”だった。音楽雑誌や音楽番組が最盛期で、バンドの露出が圧倒的に多かったことも、印象を強めた大きな要因だろう。

こうした背景が重なり、「昔よりバンドが減った」という感覚が生まれていると考えられる。

紅白歌合戦の魅力を再確認

データを振り返ってみると、バンドの存在感が薄れたように見えても、実際には着実に紅白に出演し続けていることが分かった。「バンドが減った」という印象は、音楽の聴き方やヒットの構造が大きく変わった現代特有の錯覚といえるのかもしれない。

様々なジャンルのアーティストが出場する紅白。その多様性こそが、時代とともに変化し続ける紅白歌合戦の魅力なのかもしれない。

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