
「ポケカ」が何なのかを知らずとも、ニュース等でその単語を見聞きしたことのある方も多いのではないだろうか。
簡単に説明すると、「ポケカ」とは「ポケモンカードゲーム」の略称。コンピュータゲーム『ポケットモンスター』を題材にしたトレーディングカードゲームで、カードを使ったバトル以外にも、カードを集めるコレクションや鑑賞といった楽しみ方もある。
しかし「ポケカ」をめぐっては、窃盗、強盗、詐欺、転売といった犯罪・事件が後を絶たない。また、そのユーザー層ゆえ未成年による事件も多い。
その大きな要因が「カードの高額化」だ。
脅威の高額カード

カードバトルはそっちのけで、いわゆる「レアカード」の価格は上がり続けており、その額は想像を遥かに超えているという。
ポケモンカード価格情報サイト「ポケカバンク」によると、2025年現在、日本円にして「億」を超えてしまったとんでもない高額カードが存在!
実際にオークションで落札された最高額は「ポケモンイラストレーター」のカードで、その額なんと約7億1,780万円!
何それ豪邸?
いくら貴重だからって…
たかだかカードにそんなお金…
あれ、なんかこの感じ知ってるぞ。
おれたちのビックリマン
これまでも一大ブームとなり、「レア」「プレミア」という名のもとに値段が高騰したものは数多く存在する。
中でも、多くの昭和世代男子にとって印象に残っているのは「ビックリマン」ではないだろうか。

ビックリマンは、1977年(昭和52年)から日本で発売されている株式会社ロッテのチョコレート菓子。おまけとしてシールが封入されており、特に「悪魔VS天使」シリーズは1980年代後半から1990年代初頭にかけて大ブームに。
しかし光の裏には必ず闇があるもの。ブームの裏で様々な社会問題が続発。
・チョコレートの大量廃棄 シール欲しさにシールだけを抜き取りチョコを捨て、食品ロス問題に。 ・万引き事件 商品を勝手に開けてシールだけを抜き取って持ち去る窃盗事件が発生。 ・大人買い シール欲しさの大人が大量購入する「大人買い」によって、特にレアなシールが入った商品が品薄状態に。 ・シールの転売と高額取引 希少なシールが金銭で取引され、中には数千円で取引されるものも。 ・模倣品(偽物、パチ物)の氾濫 ビックリマン人気にあやかろうと絵柄の粗悪な「偽ビックリマン」が巷に氾濫。駄菓子屋などでも堂々と売られていた。「ロッテ」のロゴに似せた「ロッチ」のシールは衝撃だった。 ・デマの拡散 「箱の3番目や8番目のシールはヘッドが出やすい」など根拠のないデマが広まる。
そんなこんなで、ビックリマンは公正取引委員会の指導を受ける結果に。
ロッテは「ビックリマン憲章」(シールの売買禁止、チョコの完食、シール交換による親睦を深めることなどを推奨)を策定したり、景品表示法への対応として、レアなヘッドシールでも素材の違いをなくし出現頻度も他のシールと等しくするなどの「自主規制」を行なった。
その結果、この狂熱は次第に冷めていてきブームは終焉。
人気が出るよう仕掛けたのに、人気が出すぎると今度は人気がなくなるよう仕掛けなければならないという、皮肉というかなんというか…世の中は難しい。
ポケカはビックリマンと何が違うのか
時代は違えど、同じような社会現象を起こしているポケカとビックリマン。
しかし両者は明らかにスケールが違いすぎる。ビックリマンは1枚数千円、ポケカは1枚数億円。なんかビックリマンが可愛く見えてくる。
考えうる理由として、以下が挙げられるように思う。
・コンテンツ自体の強さ
ビックリマンはあくまでお菓子のおまけである“オリジナルキャラ”としてスタート。ポケカはすでに“多数の人気キャラ”を持つ「ポケモン」をベースにしたスタート。またアニメ、ゲーム、映画と多岐にわたるメディア展開も忘れてはならない。
・マーケットの規模
国内ムーブメントと言っていいビックリマンに比べ、ポケモンは海外でも「Pokémon」として抜群の知名度を誇る。また、世代を問わず長年人気を誇る「ポケモン」は、子供から大人まで幅広い層に認知されている。
・ネット、SNSの普及
ビックリマンは時代的にまだまだ口コミの時代。カードの希少性などの情報は小さなコミュニテイや限られた媒体(主に雑誌)から得るしかなかった。しかし現代はあふれる情報で即「自分の位置」がわかってしまう。自分のカードがいかに弱いか、自分の持っていないカードがどれだけあるのか。「なんとしてもレアカードが欲しい」そんな思いに拍車がかかるのかもしれない。
・歴史的背景
ポケカはそれに加えて、1996年に日本で初めて発売され、日本のトレカ文化の先駆者的存在でもある。そのため最初期に発行されたものの生産枚数は限られており、保存状態も相まって想像以上の値をつけているのかもしれない。
・カードゲームとしての面白さ
ポケカは世界中でゲーム大会が開催されているほど、カードゲームとしても人気だ。ただのコレクションにとどまらないところも「ポケカ」の強みと言えるだろう。
ポケカはビックリマンより、「より大きな」「より多くの」ものを巻き込みながら、無限の金を飲み込み続ける巨大なブラックホールとなっている。

ちなみにここ数年、ビックリマンもまたオークションやフリマサイトなどで高値取引されている。しかしこの盛り上がりは、大人になった「ビックリマン世代」が「懐かしさ」「所有欲」「子供の時にできなかった事」を満たそうとしているもののようにも見え、限定的なブームで終わりそうだ。
「ポケカ」ブームには一体どんな行く末が待っているのだろうか。
まだまだその終わりは見えそうにない。


