
最盛期には大阪府南部を中心に約60店舗を展開し、関西を席巻していた「スーパー玉出」が閉店ラッシュに追い込まれているそう。
黄色に赤文字のド派手な看板が目印の同店は、「激安」「24時間営業」「1円セール(毎月1のつく日に、税抜き1000円以上購入すると対象商品を1円で購入できる)」が特徴だ。
不動産業やカラオケ、ボウリング場などにも手を広げるなど隆盛を誇ったが、2013年からは新規出店を凍結し、2018年には新会社フライフィッシュに運営を移行している。
その後はキャッシュレス決済の導入やインバウンド対応、芦屋での高級食品スーパー事業などに取り組んだものの、コロナ禍も重なってしまい、2023年までに店舗数は半減。
2024年6月に「肉のハナマサ」と業務提携を結んだ時点での店舗数は26店。さらに同年秋以降に7店舗の閉店が相次ぎ、2025年現在では19店舗と全盛期の約1/3になってしまった。
常識を超えた激安!大阪の象徴
独自性に富んだ商品陳列は顧客の視線を奪い、さらに激安価格も思わず二度見するレベル。その圧倒的な存在感は、東京のチェーン店では決して見られない。
激安スーパーの枠を超え、大阪といえば『玉出』というように、街自体を象徴するアイコンとしての存在感を示してきた。実際、インバウンドや県外からの観光客にも「大阪名物」の一つとして人気だった。
玉出といえば「激安」だが、その根底を支えていたのは、ディスカウントの命綱ともいえる仕入れの交渉力だそう。独自の仕入れルートを築き上げ、「現金即決買い」の凄腕バイヤーたちの存在こそが、同社の安さを陰で支えていたという。
「激安」「24時間営業」が通用しなくなった
『玉出』のビジネスモデル「激安×24時間営業」が2020年代のコスト構造に合わなくなったことで、苦しい状況になったとも言われている。
仕入れの値段が上がり、人件費も高騰…仕入れ値が上がれば、販売値段も上げればいいのだが、それでは売れないことが多い。物価は高騰するのに消費者の給料が上がらないから、なかなか売れない。安く売るにも限界がある。
なかなか苦しい状況の玉出だが、未来を見据えた再出発も図っているという。
2024年秋、本部機能と大阪市内の8店舗を「肉のハナマサ」の親会社であるJMホールディングス(茨城県)へ譲渡。これらは外部からは「敗戦処理」のようにも見えるが、そうではないとのこと。
また、電気代高騰を踏まえて日中はネオンを消灯し、24時間営業の見直しにも踏み切っているという。


