少子化、楽器の高騰…「吹奏楽部」危機的状況に

吹奏楽部といえば、文化部の花形。放課後に聞こえてくる管楽器の練習の音色は、青春の1ページを彩る記憶として多くの方々の思い出に花を添えていることでしょう。しかし、そんな吹奏楽部が今機器的な状況にあるといいます。大きな原因は、少子化、そして円安や材料の不足による楽器の価格高騰です。たとえばトロンボーンひとつとっても、同じ型番の楽器が10年前と比べて、20万円以上高い値段で販売されているようなケースも。

専門家によると将来、「吹奏楽部人口」が実質上半分以下になるという予測もあるそう。

甲子園の「助っ人吹奏楽部」

吹奏楽部存続の危機感を多くの人に伝えたのが、今年夏に行われた甲子園、愛知県代表・豊橋中央高校の試合でしょう。愛知県大会の試合では、豊橋中央高校の応援に吹奏楽部の演奏がありませんでした。吹奏楽部が部員数減少で活動縮小していたからです。そのため、甲子園では愛知県大会決勝で戦った東邦高校のマーチングバンド部が助っ人として演奏することになりました。

決勝で負けた高校が勝った高校のために一肌脱ぐ、心あたたまるエピソードではありますが、甲子園に出場できるほどの規模の高校ですら吹奏楽の応援団がないという現実は、吹奏楽部出身者や吹奏楽部ファンにとっては寂しいものです。

どのくらい減ってる?

この10年間で、中学校吹奏楽部の全日本吹奏楽連盟への加盟団体減少率はマイナス2.2%、高校がマイナス7.0%となっています。少子化のペースからいって、このマイナス傾向はより大きくなっていく可能性が高いでしょう。

コンクール不参加団体の増加・編成の小編成化

吹奏楽の甲子園と言われる全日本吹奏楽コンクールへの参加校も減っています。コンクールに参加するには一定の人数が必要なので、編成を維持出来なくなった学校が多いのでしょう。

また、コンクールに参加する学校でも、小規模な編成での参加が増えました。
たとえば2019年は25人以下での参加割合は34%でしたが、2021年には43%、昨年2024年は51.5%と過半数を超えています。

高校の場合も同様に2019年、25人以下の参加割合は35%でしたが、2021年は40%。
昨年2024年は45%です。
中学・高校のコンクール参加校の4割前後が部員数25人に満たない現状があります。

吹奏楽部の問題

演奏にたくさんの人数が必要な吹奏楽部は、少子化の時代において逆風にさらされています。学校外の地域に根付いた団体としてのあり方を模索する向きもありますが、子供が減っていく限り吹奏楽人口の減少は避けられないでしょう。

体育会系部活のように休みもなく、厳しく指導する吹奏楽部のあり方が時代に合わなくなってきたという声もあります。いま、吹奏楽部文化が未来へ続いていく上での分水嶺を迎えているところです。

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